自己補正型光ヘッド制御方式


ディスクの厚さむらによる光スポットの「ゆがみ」を自動的に補正する技術の要素の1つ。対物レンズは、ディスク基板の厚みを見込んで設計されている。しかし、分解能が高くなるにつれて、記録膜を覆っている保護膜厚の誤差が無視できなくなってくる、この誤差によって光スポットの焦点精度が変動し、球面収差が急激に増大するという問題が発生する。このため、ディスクの保護膜厚に対する要求精度が高くなり、20Gバイト以降の光ディスクでは3μm以下の厚さ精度が必要と言われている。一方、記録膜を多層化する場合、複数の記録層に対して独立に情報の書き込みと読み出しを行うため、記録層の間隔を30μm以上離す必要がある。しかし、記録層毎に対物レンズからの距離が違うと、最適な位置からずれた記録層で球面収差が発生する。これらの問題を同時に解決し、大容量・高密度の光ディスクを実現するためには、光スポットの球面収差量をリアルタイムで測定し、収差補正する機能を持った新たな光ヘッド制御技術の開発が必須といわれていた。日立製作所中央研究所は、記録・再生中に光ヘッド自身で光スポットの球面収差をリアルタイムに測定する技術を開発し、さらに球面収差が光スポットの軸付近の光線と、周辺部分の光線で、焦点位置が異なる現象であることに着目し、この2つの光を分離して焦点誤差を個別に検出することで、その差から球面収差量を得る方式を採用して、自己補正型光ヘッド制御方式の要素技術開発した。その原理実験を行った結果、2つの光の焦点誤差を個別に検出し、この差から球面収差量に比例した制御信号がリアルタイムで正確に得られることを確認でき、2000年9月7日に開発が成功したことを発表した。詳細情報はURL(http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/0009/0907a.html)で知ることができる。この制御信号を用れば、従来用いられている収差補償素子(可動レンズや液晶素子など)を駆動させることにより、球面収差を自動的に補正する光ヘッドの実現が可能となる。この開発により、これまで光ディスクの記録密度を向上する主要技術として上げられてきた、(1)記録再生用光源の短波長化、(2)光ヘッドの対物レンズの高分解能化、(3)ディスク記録膜の多層化の3つの技術を同時に適用することが可能になり、両面100Gバイトもの大容量が実現可能になったといわれている。日立製作所は、2000年9月6日から北海道千歳市で開催した光メモリに関する国際会議「International Symposium on Optical Memory(ISOM)2000」で公表した。