直径2.75μmの世界最小のワイングラス


NEC、姫路工業大学の松井真二教授、セイコーインスツルメンツは共同で、炭素を素材に、直径2.75μmの世界最小のワイングラス(通常のワイングラスの約20000分の1)の作製に成功したことを2000年12月5日に発表した。詳細情報はURL(http://www.seiko-instruments.co.jp/hppack/news/news_detail.cfm?id=573)で知ることができる。この超微細な立体構造の製造法で開発された技術は、将来多くの分野で応用される可能性があることから、リリース全文を転載する。

2000)12)05

任意の超微細な3次元立体構造を実現するナノテク新技術の開発について
〜世界最小のワイングラスの作製に成功〜
日本電気株式会社

姫路工業大学
セイコーインスツルメンツ株式会社
 NEC(社長:西垣浩司、所在地:東京都港区)、姫路工業大学(学長:鈴木胖、所在地:兵庫県姫路市)教授 松井真二、セイコーインスツルメンツ(株)(略称:SII、社長:服部純一、所在地:千葉県千葉市)の3者は共同で、これまで達成されていなかった100 ナノメートル(nm:100万分の1ミリメートル(mm))以下の任意の3次元構造体を望み通りに作製する技術を世界で始めて開発いたしました。
 今回の3次元ナノテクノロジーを用いることで、これまでの手法では製造することが困難であった、ミクロン(μm:千分の1mm)からnmサイズの高精度かつ任意の形状の超微細立体構造が、任意の材料で製造できるようになります。
 これにより、今までは不可能であった、神経系などの生体機能の計測、光通信向けの高性能な制御素子の作製、超微少なセンサーやスイッチなどの作製が可能になり、ナノエレクトロメカニクス、ナノ光学、ナノ磁気デバイス、バイオナノチップやナノ計測分野などにおける飛躍的な性能向上と新分野の開拓が可能となります。

 3者は今回の技術を用いて、炭素を材料とした、外径が2.75μm(通常のワイングラスの約2万分の1)という世界最小のワイングラスの製造に成功し、この技術の精度の高さを実証いたしました。

 超微細な立体構造を製造するための技術の研究・開発においては、構造体の加工寸法が小さくなると同時に、2次元的な加工から3次元の加工へと技術が進展しております。この製造技術は、様々な分野への応用が期待され、新領域の開拓も模索されております。
 現在、この微小な立体構造の製造方法としては、レーザによる光造形法やシリコン半導体プロセスによる製造法が実用化されつつあります。
 しかし、レーザによる光造形法では、(1)レーザの集束ビーム径がμm以上と大きいため解像度が低い、(2)有機高分子の液相反応を利用しているため材料に制約がある、(3)レーザビームもしくは試料を動かして立体構造を作製するため、精度が機械的な操作精度に制限される、などの問題があり、nmレベルの精度が得られないという欠点がありました。また、半導体プロセスは本来2次元的な加工を目的としているため、それを用いて3次元の構造を製造する場合は、製造プロセスが大変複雑になるという問題がありました。

 今回開発した超微細な立体構造の製造法は、10nm程度に集束したガリウム集束イオンビームを、計算機制御された電磁界による偏向(注)により、nmレベルの精度で原料ガス中を立体走査させる技術の開発により実現されました。
 この技術を用いると、集束イオンビームで誘起された表面反応により、原料ガスで決まる材料で構成され、3次元CADによって計算機制御された、100 nm以下の超微細な立体構造が製造可能となります。

 3者は、この技術が、(1)立体ナノシステム部品やナノメカニカル機能素子の作製、(2)ナノエレクトロメカニカルシステム、ナノ光学、ナノ磁気デバイス、バイオナノチップやナノ計測分野、などにおける飛躍的な性能向上と新分野の開拓に貢献するものと考えており、早期の実用化を目指して、今後とも積極的な研究・開発活動を展開する予定であります。
 
(注) 電磁界による偏向:
 電荷をもった(電気を帯びた)粒子線(イオンや電子)の飛行方向を、電界や磁界を用いて制御(偏向)する手法。
 
以 上

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