バクテリア記憶媒体


バクテリアなどの細菌類をデータの長期記録媒体として有効活用する技術の総称。慶應義塾大学先端生命研究所(Institute for Advanced Biosciences)と慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)らの研究グループは2007年2月20日に、バクテリアなどの細菌類をデータの長期記録媒体として有効活用する新技術を開発することに成功したと報告した。すべての生物はその遺伝情報を記録するゲノムをもちます。ゲノムは、A、T、G、Cの四文字からなるDNAの配列で構成され、生物固有の遺伝情報もそのDNA配列の並び方によって決まっている。研究グループは、バクテリアのゲノムDNA配列に人工DNA配列を挿入することによって、バクテリアにデータを長期保存する。バクテリアなどの細菌類はその大きさが非常に小さいことや、世代を経てゲノムに遺伝情報を残していくため、CD-ROM、メモリースティック、ハードディスクといったコンピュータに用いられる磁気メディアと比較して格段に小さく、大容量のデータが長期にわたって保存可能な記録媒体になりうるとして注目されていたが、生物は世代を経るごとにゲノムDNA配列を徐々に変化させるため、挿入した人工DNA配列も同時に変化してしまい、記録した情報が壊れやすいことがこれまで大きな壁となっていた。そこで研究グループは、情報をDNA配列に変換して合成した人工DNAを、枯草菌Bacillus subtilisというバクテリアのゲノムDNAの複数箇所にコピーして挿入する技術を開発し、保存した情報を読み取るときに、バクテリアの全ゲノムDNA配列からコピーされた同じDNA配列を「あぶりだす」ことができようにした。また、記録した情報が部分的に破壊されてしまっても、他のコピー配列から正しい情報に修復できるようにもなった。究グループは実際に、1905年にアインシュタイン博士が発表した相対性理論の方程式にちなんで「E=mc^2 1905!」というデータを枯草菌に保存し、コンピュータ・シミュレーションを行って、新技術が世代を経ていくバクテリアに数百年から数千年もの間データを記録できる可能性を示した。詳細情報はURL(http://www.ttck.keio.ac.jp/IAB/IAB-news-old/index.html#bs)で知ることができる。これは将来、記憶容量を増やす目的で、記憶部分だけが肥大化したバクテリアの開発まで予想され、SFの世界のような危険性も出てくる。