ホワイト・ペーパーの日本語訳/今日の DNS 管理


今日の DNS 管理:

ここ数年で、インターネットの商用利用が急速に拡大してきている。しかしながら、旧体制の遺産として、ドメインネームシステムの大きな部分は、今だ米国政府機関との契約に基づいて運営されている。

1)インターネットユーザーに対する数値アドレスの割り当て

インターネット上のすべてのコンピュータには、ユニークな IP番号が付けられている。IP番号の割り当ては、Dr. Jon Postel が率いる IANA が調整し、アドレスブロックを地域IPレジストリ(北米はARIN、ヨーロッパはRIPE、アジア太平洋はAPNIC)に割り当てることによって実行されている。この作業は、DARPA との契約に基づいて行われている。これを受けて次に、大規模ISP(インターネットサービスプロバイダー)が地域IPレジストリに対して IPアドレスブロックの割り当てを申請する。アドレスブロックを割り当てられた大規模ISP は、その中から、小規模ISP に対してアドレスを割り当てることになる。さらにそれはエンドユーザーへの割り当てへとつながる。

2)インターネットユーザーのための名前登録システムの管理

ドメイン名空間は、階層構造となっている。ドメイン名空間はまず、複数のトップレベルドメイン(TLD)に分割され、さらにそれぞれの TLD は複数の第2レベルドメイン(SLD)に分割され、さらにこの構造が続いていくという具合である。現在、200以上の国別TLD、すなわち国コードTLD(country-code TDL = ccTLD)が、各国政府、または、各国政府の適切な承認のもと民間組織によって管理されている。また、数少ない gTLD は、いかなる国の識別子ももっていないものの、ドメイン空間における意図された役割を表わしている。例えば、.com は商業ユーザーのために、.org は非営利組織のために、.net はネットワークサービスプロバイダーのために作られたものである。これらの主要な gTLD の登録と普及活動は、NSFとの5年間の協力契約に基づいて NSI が担っている。この契約は、1998年9月30日を終了期日としている。

3)ルートサーバーシステムの運用

ルートサーバーシステムは、13のファイルサーバーで構成され、すべての TLD を並べた権威のあるデータベースを収容している。現在、NSI が 'A' ルートサーバーを管理している。'A' ルートサーバーは、権威のあるルートデータベースであり、そこに加えられた変更は日次ベースで他のルートサーバーに複製されるようになっている。NSI、並びに、その他の組織が、残りの12のルートサーバーを管理している(注6)。米国政府は、世界のルートサーバーの約半分の管理を担っている。インターネットにおける普遍的な名前の一貫性は、これら権威のあるルートサーバーとそれに対して一貫性を持つ一連のルートサーバーの存在なしには保証することはできない。このような一貫性がなければ、インターネットのメッセージは正しい目的地に確実に経路制御されないであろう。

4)プロトコルの割り当て

IETF(Internet Engineering Task Force)で決められるインターネットプロトコルスイートには、数多くの技術的パラメータが含まれている。このパラメータには、プロトコル番号、ポート番号、AS(Autonomous System)番号、MIB(Management Information Base)識別子、その他が含まれる。インターネットコミュニティにおいてこれらのプロトコルを共有していくためには、それぞれに使われる値がユニークに割り当てられる必要がある。現在、これらの割り当て、および、そのレジストリ管理は、DARPA との契約のもと IANA が行っている。

変化の必要性

米国を基盤とした研究ネットワークとして誕生したインターネットは、現在、国際的な商業、教育、通信のメディアへと急激に変化している。その技術的な諸機能を組織化する手段も従来の伝統的なものから進展する必要がある。今、変化を求める圧力が様々なところから出ている。

 -ドメイン名登録において競争がないという不満が広がっている。

 -商標権者とドメイン名保有者との間の紛争が普通に起きるようになってきつつある。これらの紛争解決の仕組みは、費用がかかり、また、扱いにくいものである。

 -多くの商業的な組織は、自らの未来をインターネットの実りある成長に賭けており、より秩序だった強固な管理構造を求めている。

 -米国以外のインターネットユーザーの割合がどんどん大きくなっており、これらの利害関係者はインターネットの調整活動に参加したいと考えている。

 -インターネットの名前が次第に商業的な価値を持つにつれて、新しい TLD の創設を、インターネットコミュニティーに公式に責任を持っていない組織や個人が臨時(ad hoc)ベースで決定する状況ではなくなってきている。

 -インターネットが商用化されるにつれて、米国の研究機関が指示を出したり資金提供を行うことは適切ではなくなってきている。

インターネットの技術コミュニティーでは、ここ数年間、DNS 管理ポリシーについて活発に議論が行われてきている。既存のドメインとは相いれない一連の代替的なドメインの登録サービスを提供する実験的なレジストリシステムが1996年1月に開発されている。インターネットユーザーのほんの一部にしか見えないもののname.space、AlterNIC、eDNS 関連レジストリ(注7)のような代替的システムは、DNS管理の発展に関するコミュニティーの対話に貢献してきた。

1996年5月、Dr. Postel は、独占的で競争的な複数のトップレベルドメイン名レジストリの創設を提案した。この提案は、最高50までの新しいドメイン名レジストリの導入をすること、そして、各レジストリに最高3つの新しいトップレベルドメイン(したがって、合計で150の新TLD)での名前登録を行う独占権を与えること、を求めるものであった。この提案を支持するものがいる一方、インターネットの技術コミュニティーからは多くの批判を招いた(注8)。この提案は、修正が加えられ、再度発表された(注9)。インターネットソサエティ(ISOC)の理事会は、1996年6月、実質的にはそのドラフト版と変わらないが、それを若干修正したものを、原則として支持することを表明した。

かなり多くの議論とドラフトの書き直しによっても DNS の変化に関するコンセンサスが得られないという状況を経て、1996年9月、IANA と ISOC は、DNS 管理問題を解決するために、国際臨時特別委員会(IAHC)(注10)を組織した。 世界知的所有権機関(WIPO)、国際電気通信連合(ITU)が、IAHC に参加した。 フェデラル・ネットワーキング・カウンシル(FNC)は、IAHC の一番初期の議論に参加した。

IAHC は、1996年12月、DNS 管理の発展のために、ユニークでかつ熟慮された概念を導入するという計画案を発表した(注11)。その最終報告書では、当初7つの新gTLDを創設し、それらをレジストラ協議会(CORE)(注12)と呼ばれる新しい民間レジストラのコンソーシアムが非独占的に運用するとした一つの覚書(MoU)が提案された。ポリシー管理については、ポリシー管理委員会(POC)と呼ばれる別の協議会が実行することになっており、この POC には特定の利益関係グループの代表が席を割り当てられていた。さらに、この計画案は、商標とドメイン名の紛争を解決するための仕組みを正式に導入するものであった。この MoU のもとでは、第2レベルドメインの登録者は、商標権者との間で紛争が起きた場合、WIPOによって進められる調停や仲裁に従うことが必要とされている。

IAHC の提案は、インターネットコミュニティの多くの人々の賛同を得たものの、その一方、技術開発およびその実施についての非常に強行なスケジュール、インターネットのエンジニア達によって支配されていたこと、そして、インターネットコミュニティにおけるビジネス関係者やその他の人々の参加や意見が欠如していたということで、IAHC の進行手続きは非難の的となった(注13)。中には、大きな不満の原因である競争問題を解決できなかったことについて、また、商標権者に不要な負担を課していることについて、この計画案を非難する者もいた。POC は当初の計画案を修正したり、非常に大きな範囲で柔軟性を示すことによって、それらの非難に応えたが、当初の計画案およびその計画案によって展開される手続きに対する非難を覆すことはできなかった(注14)。インターネットコミュニティの重要な人々が、IAHC の手続きの外におり、彼らはIAHC はインターネット全体を十分に代表していないと非難した(注15)。

DNS 管理を変えなければならないという圧力の結果、また、DNS 管理からの自らの撤退を促進するために、米国政府は、米国商務省および NTIA を通じて、1月30日にグリーンペーパーを発表し、DNS に関する米国のポリシーの方向性に関するパブリックコメントを求めた(注16)。グリーンペーパーで述べられているアプローチは、初期の Postel のインターネットドラフトや IAHC の gTLD-MoU など他の提案書の要素を取り込んだものであった。

コメントと レスポンス:以下にあげるのは、NTIAが発表した「インターネットの名前およびアドレスの技術的管理の改善についての提案」に対する返答として寄せられたコメントのうち、主だった項目に対するレスポンスの要約である。ここで用いられている量的な表現、例えば“幾つかの'“多くの'“ほとんどの'などの言葉は、特定の問題に対して言及したコメントの数的な比率を大まかに示したものであって、受け取ったすべてのコメントあるいは該当するすべてのコメントの内容を要約しようとしたものではない。


世界のインターネット・ユーザー(Computer Industry Almanac Inc.より/1998年末現在)
appleimac.comのページ
アジアのインターネット・ユーザー(1998〜1999)
米国における両親のインターネット利用の推移
米国の子供達がインターネットで情報を知る先
2000年8月の地域別、国別インターネット・ユーザー
ドイツのドメイン数の伸び
ドイツの種類別ドメイン数の伸び
ドイツのドメイン数の伸びと、必要な金額
ドイツのホスト数の伸び
ドイツのホスト数の伸びと金額
言語別世界のインターネット・ユーザー
言語別ユーザーの円グラフ
米国の学校に接続されたインターネットの数と利用環境
親と学生による教育に必要な要素比較
アジアのインターネット利用環境
アジアのインターネット・ジャンキー
2000年9月のアジアe-commerce環境
西欧のインターネット状況
ロシアとヨーロッパのインターネット・ユーザーの伸び
ヨーロッパの2000年インターネット・ユーザー
Goldmann Sachs and PC Data Onlineの年末商戦情報
米国の1999年と2000年年末商戦で購入できなかったサイトの数
NetValueが2000年12月15日に発表したアジアのインターネット状況
2000年年末米国における日曜ごとの売り上げ比較
ITUが発表した2001年1月の世界インターネット・ユーザー現状情報
Pew Internet & American Life ProjectのThe Internet and Educationレポート2001/09/01
HarrisInteractiveが公開した2001年年末商戦の動向
米国の教育とメディアに関するIDCの調査報告(2001年9月現在)
WIPOが公開した1999年から2001年11月までのドメイン名紛争統計
NSTC/NSET/NSF/DOCが公開したレポート「人間の能力を成長させるための技術」
WIPOが2007年3月12日に公開したサイバースクワットの危機リリース
WIPOが2007年3月12日に公開したサイバースクワットの危機の補足資料